星の読書について

「読書」をはじめます。


書物自身が創造的なものであるばかりでなく、読書もまた創造的な行為である。
マルセル・デュシャンは「アーティストは自分の作品を完成させることはできない、完成させるのは観客である」と発言している。つまり読書は、正にデュシャンの言う「作品を完成させる」行為である。
読書とは、紙に書かれた文字を読むことだけではない。夜空の星の一つ一つを結びつけて星座を作り出すように、自然環境や自然現象から、人工的構築物からも私たちは様々な情報を読み取る能力を本能として持っている。
阪神間には、自然、人工ともに素晴らしい読書の環境がある。環境そのものが貴重な書物を収蔵する図書館と言えるだろう。
その「図書館」で創造的な「読書」を試みること。
今、私たちは新しい読書の楽しみを探求する。
藤本由紀夫


合理化や情報化が進み続ける現代の社会では、速度を求めるあまり簡易に情報を得ることや情報そのものに対して「分かりやすさ」を重視するようになってきたように感じられます。
そんな時代だからこそ、私たちは、立ち止まりゆっくり考えてみる、自分の身体を能動的に使い「情報」と向き合ってみることが必要だと考えます。
この度、阪神間に位置する近現代の建築物や自然環境の中で「読書」を行います。
春・夏・秋・冬の四季の中、屋内外で行う「読書」から五感を通した新しい読書の楽しみ方を探るとともに、読者同士が時間と空間を共有することで生まれる共同的・対話的な関係性から、この世界を豊かに過ごす方法を見つけていきます。

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